Lesson4-3 自分は思い通りの声を出せているわけではない

会話と声

人と会話する上で重要なのは声の大きさや聞き取りやすさです。学校の先生など人前に立って喋る職業に就く場合は、大きな声で会話できるように発声や喋り方の練習を行うことがあります。教師に必要なのは教室の隅に居る子供にも届く声なのです。

人と会話する上でも適切な声の質や音量というものはあり、これを理解しないと相手に「この人は会話し辛い」と思わせてしまう危険性があります。大事な話をしている時に大声を出してしまったり、仕事の成果報告をとても小さな声で行ってしまった結果、上手くコミュニケーションが取れない可能性が生じてしまいます。

自分はどんな声で喋っているのか?

脳は自分自身を騙せる器官ですから、耳から入って来た自分の声を上手く脳内で再構成し、きちんと話せているように錯覚させてしまいがちです。また、実際の距離で見ても、自分の耳と相手の耳では後者の方がずっと遠くにありますので、相手には自分で思っている以上に小さな声で届いてしまう可能性があります。

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自分の音量や声の調子をきちんと理解していなければ、いかにすらすらと話しても伝わりません。また人間の耳が拾える音の領域に関しても大きな個人差がありますので、充分な音量で話していると思っても実は伝わっていない可能性がありますし、逆にうるさ過ぎるという印象を与えてしまうこともあるでしょう。

自分の声を録音する

古典的な手法ですが、気になる方は自分の声を録音することで不安を解消することができます。録音した音声は自分の体内を通していないものですから、より正確に「他人の耳で聞いた時の印象」を把握できるわけです。

この方法を試してみると分かるのですが、自分の声というものは意外と変な調子で聞こえるものです。自分では映画の吹き替えみたいな声を出していると思っていても、実際に聞いて見ると驚くほど聞き心地が悪い声だったりして、自分の声はこんなに聞こえが悪いのかと苦笑することになるのですよね。

昨今はICレコーダーやスマートフォンの録音機能が発達したため、気軽に自分の声を確認出来るようになりました。この講座をお読みいただいている方で、もし自分の声を正しく把握していないという方がおられましたら、まずは一度試してみることをお勧めします。

自分の声を理想に近づける

後のLessonでも触れますが、自分の声をより聞き取りやすくすること、なるべく適切な音量で声を出せるようにすることはトークスキルの向上に繋がります。腹式呼吸や腹筋、ボイストレーニングの訓練は、そういう意味ではとても効果的です。

その効果的な訓練を理想的な状態で行うためには、自分の声が現在どのように聞こえていて、最終的にどのような声になりたいかという目標を立てなければなりません。基本的にはコミュニケーションに置いて重要な声の質は、はっきりと・濁らず・適切な音量で相手に届くことです。

自分の声が「聴き心地が良い」と感じられるレベルになるまで録音と確認を繰り返さなければなかなかその領域には到達しません。しかし、生まれ持った容姿や身長と違って、声は肉体と同様に「改善できる」要素なのです。

落ち着いた声、聞き取りやすい声、深みのある声、大きくはっきりとした声で話していると分かれば、誰が相手でも物怖じする必要はありません。自分は素晴らしい声で話していると確信できれば、会話するときに悩んだり迷ったりする要素が一つ消えて、脳の処理能力を会話の「内容」に割けるようになります。

自分の声を正しく把握すること、そして理想的な音質に近付けることにはこのようなメリットがあります。