Lesson5-2 ソーシャルスタイルに合わせた分類の方法

人を分類するには?

想像してみてください。あなたは一つのクラスを受け持つ担任です。30人の生徒たちを血液型にしたがって分類するよう命じられました。さて、どうやって生徒の血液型を調べますか?

必要な労力はともかくとして、作業自体はそう難しいことではありません。生徒たち一人一人に血液型を聞き、記録して分類するだけです。尋ねた結果を表計算ソフトなどに入力すれば、生徒たちの名簿を血液型順に並べ替えたりすることも出来るでしょう。

ソーシャルスタイルにこの方法は適用できません。なぜなら大多数の人が自分自身のタイプを知らないからです。血液型を知らないと輸血等に影響が出ますが、ソーシャルスタイルは知らなくとも生きていくことは出来ますし、血液型占いほど一般に広まっていませんから仕方のないことです。しかし、長い人生で輸血する機会と、自分のソーシャルスタイルに関する知識が役に立つ機会を比べると、後者の方が圧倒的に多いのです。

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もしあなたが自分のタイプをきちんと把握しているなら、相手に向かって「自分はドライビング/エクスプレッシブ/アナリティカル/エミアブルです」と伝えて適切な対応を取ってもらうこともできますが、自分はA型ですと伝えても「几帳面な人なのかな」と思われるだけです。ソーシャルスタイルを知るのは血液型を知るよりずっと重要なことだと考えましょう。

他人のソーシャルスタイルを知る

他人のスタイルを知るためには様々な方法があります。たとえばソーシャルスタイルに関する勉強会などに参加してもらい、自分の傾向を把握してもらうといった方法も考えられます。会社によっては新入社員に研修として各自のスタイルを分析させるといった取り組みもみられます。

しかし、ソーシャルスタイルという理論自体あまり知られていませんし、万人に深く理解されているわけでもありません。説明すればもちろん理解していただける程度には分かりやすい考え方ですが、会う人ごとに「あなたのソーシャルスタイルを知りたいのですが、質問に答えていただけますか?」と尋ねるのは不審者のようで大変難しいことです。

そこで、さり気ない会話や応答の中から相手の型を拾うためのテクニックを学ぶ必要性が出てくるわけですね。

とっかかりは癖のない対応を

初対面の人、あまり深く知らない人と会話するときは、なるべく汎用性の高い応答を心がけるのがコツです。なにしろ相手のスタイルが分かりませんから、まずは万人に受け入れられるような会話を心がけるしかありません。

  • なるべく明るく笑顔で
  • 丁寧な口調で喋ること
  • 結論を最初に述べること

これらのことを念頭に置くと良いでしょう。明るく笑顔で振る舞うことと丁寧な口調は相手に警戒心を抱かせないために欠かせないものですし、最初に結論を述べて簡潔に話すことで分かりやすい構造で筋道の立った会話が出来るようになるでしょう。

隙を見て相手を褒める

ある程度スムーズに事務的な会話が出来るようになれば、次のステップ、すなわち相手の型の見極めに入ります。

ここで大事なのは話の流れの中で上手く隙をついて相手を褒めることです。あまりオーバーに褒めると皮肉と捉えられてしまう可能性もありますので、あくまで話の流れの中で相手の実績や「凄い点」が出てくるのを待ちます。

「実は〇〇で……をやっていましてね」と言われたときに、すかさず「すごいじゃないですか!」とか「そんなことも出来るんですね」と褒めます。「すごい」と思っていなくても構いません。ただ、嘘を吐いたことがバレてしまうと後で信頼を損なう可能性もありますので、なるべく自分が素直に「すごい」と感じた時に誉め言葉を口にするようにしましょう。

このときの反応で相手のスタイルが何となく掴めてきます。

  • ドライビング……特に動じることなく、当たり前のことのように受け止める。「何がすごいの?」
  • エクスプレッシブ……そんなことはないと謙遜しながらも、嬉しさを隠せない。「いやいや、それほどでもありませんよ」
  • アナリティカル……果たして本当にそうだろうかと論理的に考え始める。「本当にすごいことなのでしょうか」
  • エミアブル……そんなことはないと自分を卑下し始める。「いえ、自分なんてそんな……すごい存在じゃありませんし……」

これらの特徴のコツから相手のスタイルを判断し、以後はその判断を固めていくように相手とのコミュニケーションを深めていけば良いでしょう。

自分のソーシャルスタイルを知る

自分のスタイルを知りたい場合は自問自答を上手く使うことで大体の傾向を把握することが出来ます。

たとえば、他人のスタイルを調べるための先ほどの質問です。思い当たる節はありませんか? 初対面であるにも関わらず妙に話しかけやすい方が、自分のほんの些細な功績に対して「すごいですね!」と素直に褒めて来た記憶をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

褒められた際にどう答えたかを覚えていると、自分のタイプにもすぐ見当がつきます。覚えていない場合は、過去の自分の実績を一つ思い浮かべて、それを達成した自分を褒めてみて下さい。その時の反応で自分がどのタイプなのか分かります。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」です。ソーシャルスタイルの概念を応用したコミュニケーションを心がけるなら、まず自分と相手のスタイルを短時間で見分けるコツを身に付けましょう。

次のLessonからは、相手のタイプ別にコミュニケーションのコツを紹介していきます。