Lesson6-7 脱マウンティング

マウンティングを抑える

コミュニケーションを取る時の心構えとして大事なのは、マウンティングしたいという欲望を抑えることです。

人は得意なことがあればどうしても自慢したくなる生き物です。自分が他の誰かより優れているということを確信したいがために、自分の成果を自慢したり他人の不出来を論ったりするのですが、これはコミュニケーションにおいては最大の失態です。

誰だって「私の方があなたよりずっと優れているんだよ」と示されていい気はしません。マウンティングとは動物の世界に見られる「俺はお前より強い」という示威行動ですが、これをコミュニケーションに適用してしまうと、あなたは野蛮な人だと思われて信用を失ってしまいます。

相手を心地良くするのがコミュニケーションのコツです。「自分の方が優れている」と感じた時はぐっとこらえ「より優れた自分の立場からどのような助言をすれば相手が喜ぶか」に発想を切り替えましょう。相手を評価する心ではなく相手を楽しませる心が大事です。

感情より論理的な正しさを優先する

人は感情的な生き物ですから、仮に論理的に正しかろうとも感情的に相手の言葉を否定したり、耳障りの良い発言ばかりを取り上げてしまいがちです。一般的には年老いて頭が固くなると頑固な人間になり、このような行動をされると思われがちですが、実は若い人にも見られがちな傾向です。

「論理的に正しい」ことを受け入れるためには柔軟性が必要です。相手が正論を言っているとき、科学的に正しい知識を提示されたときに「そうだね」と受け止めるには、自分が間違っていることを受け入れるだけの謙虚さも持ち合わせていなければなりません。

嫌いな相手に正論を言われたときに、つい「そんなことはない!」と否定してしまうことはありますよね。でも、それではいつまで経っても成長しません。正しさを否定しても自分の感情面の満足しか手に入らず、しかもそれさえ「論理的には間違っていると分かっているから受け入れづらい」というおまけつきです。結局、正しさより自分の感情を優先させるのは毒にしかならないのです。

もちろん論理的に正しいかどうかを判断するにも知識が必要ですから、自分が「感情的に」相手の発言を否定しているのか、それとも「論理的に」否定しているのかを判断するのは難しいものがあります。しかし、「相手の発言が正しいけれど自分はそれを感情的に認めることが出来ない」という場合には、なるべく論理的な正しさを優先するという原則を身に着けておいた方がいいでしょう。