Introduciton コミュニケーション講座とは?

コミュニケーションは煩わしいもの?

現代社会で生活するなら、他人とのコミュニケーションは避けて通れないものです。

私たちは生まれた頃から親兄弟と一緒に暮らし、地域社会に育まれて大人になります。幼稚園や保育園に通っている頃は周りの大人からサポートを受け、小中高と進むにつれて会話する機会が増えていきます。仕事に就けば上司・同僚・部下など様々な立場の人々と意思疎通をしなくてはならなくなりますし、最低限の挨拶も出来ないようでは「本当に社会人なの?」と疑われてしまいます。日々の生活はコミュニケーションの上に成り立っていると言っても過言ではありません。

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それゆえ私たちは勘違いしてしまいがちです。コミュニケーションは誰とでも取れるものである、と。本当でしょうか。会話が上手くいかなくて「この人と何を話せばいいんだろう……」と思ってしまったり、意思疎通に失敗して「どうしてこの程度のことも分かってくれないの」と苛立ってしまった経験がない人なんて、滅多にいません。

そう。誰とでもスムーズにコミュニケーション出来るというのは誤解なのです。

実を言えばコミュニケーションが得意な人は多数派ではありません。会話に対して苦手意識を持ってしまったり、上手く受け答えできないのを悩んでいたり、人付き合いの上手な人が「実は人と話すのは得意じゃないんです」と公言する例は多々あります。2007年に行われたコミュニケーションに関するアンケート調査では、年代を問わず6割近くの人が人付き合いを苦手と感じており、「わずらわしい」と感じやすい人に至っては8割を超えるという結果が出ています。

私たちの多くはコミュニケーションが「苦手」で、しかも「嫌い」なのです。

(出典:NTTコム リサーチ

なぜ人はコミュニケーションが苦手なのか?

では、どうして人はコミュニケーションに対して苦手意識を持つのでしょうか。

義務教育の問題

理由はいくつもありますが、一番の要因として考えられるのは「日本の教育機関はコミュニケーションを教えない」ことです。私たちはついつい義務教育を軽視してしまいがちですが、三つ子の魂百までと言うように、子供時代の教えは思った以上に大きいものです。

たとえばアメリカでは2003年ごろからコミュニケーション能力を重視して人材の採用を行う風潮の広まりとともに、コミュニケーション能力を理論化したり、教育実践としてスピーチやディベートを取り入れるなど、学校教育のなかでコミュニケーションについて学ぶ機会を設けています。

脳の構造は人によって異なる

あまり認識されていないことですが、脳の構造は人によって大分異なります。

私たちのコミュニケーションを脳の働きを元に説明すると、五感から入って来た情報を脳にインプットし、それを処理したのち「反応」として出力する、という形を取っています。したがって、コミュニケーションには脳の情報処理能力が重要になるのですが、この発達具合は人によって大きく異なっています。

聞いたものを覚える力、物事に注意して客観的な順位付けを行う能力など、脳が得意なことは人によってまちまちです。先ほどまでの会話の内容を思い出せない、優先順位とは関係なく思いついた順に喋ってしまう、「Aが起こったからBになった」という話をする際にAとBの順番を間違える……会話中に突然そんな状態に陥って困った経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

人によって情報処理の得意不得意が違うのに、自分と相手が全く同じやり方でコミュニケーションをしていると思い込んでしまう。ここに「みんなが出来ることなのに私には出来ない」「どうしてこの人は五分前の話さえ覚えていないのか」というすれ違いが生じてしまう原因が潜んでいます。

コミュニケーションの場は年々失われている

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やLINE等のコミュニケーションアプリの発展により、対面で人と会って話す必要性は薄れました。

会話や挨拶の苦手な人にとっては幸せなことですが、逆に言えばリアルなコミュニケーションの場が失われつつあるということでもあります。コミュニケーションアプリならアイコンやスタンプで、メールなら顔文字で自分の気持ちを伝えたりすることは出来ますが、現実では会話とボディランゲージに頼らねばなりません。一度ネットワーク上のコミュニケーションに慣れてしまうと、現実でのやり取りが窮屈に感じる場合もあるでしょう。

また、YouTubeなどの動画サイトが流行したこと、イラストや音楽制作のハードルが下がったことなどから、声や仕草ではなく視覚的・聴覚的な創作によって交流を図る人が増えてきています。文化の発展という面で見る分にはとても良いことなのですが、創作物への感受性が高まる一方で、肉体的なコミュニケーションへの意識や経験はどんどん薄くなっています。

日本はコミュニケーションの苦手な人だらけの国

  • 教育機関ではコミュニケーションの方法を教えない
  • 人によって情報処理能力に偏りがある
  • インターネットを利用したコミュニケーションツールが増えたことで、日常会話やボディランゲージを使う機会が相対的に減ってしまった

このような理由から、コミュニケーションの苦手な方の割合が徐々に増加しています。逆に言えば、コミュニケーションについて学ぶ重要性がどんどん増してきているということです。簡単なテクニックを押さえれば一歩抜きん出ることも出来ますし、立場の違う方との会話や顧客との商談、友人や家族とのコミュニケーションにも余裕が出て来るでしょう。

もちろんコミュニケーションを学ぶ利点は、相手とのやり取りで優位に立つことだけではありません。良いコミュニケーションは、相手の発言を良く理解して、お互いにとって居心地の良い場や関係を形成するものです。「上手に喋りたい」「面白い人だと思われたい」という気持ちも大事ですが、相手を立てる「引き出し上手」になる方が、人付き合いから得られるメリットは多いものです。

本講座では、ディスカッションやディベート、商談や相談などの仕事に役立つコミュニケーションの理論とその練習のコツを学びます。また、そのような「攻める」テクニックのみならず、相手の意図を把握して会話を誘導するための「受ける」技術を獲得していけば、更に有益なコミュニケーション術に発展させることが出来ます。

人との会話に自信がないあなたも、会話が続かないあなたも、本講座で自分のスキルを客観的に見つめ直してコミュニケーションのプロになりましょう!